下向きの眉毛と姉の呪い
下がり眉を上げ眉にしなさい!とアドバイスを受けた。
鏡でじっくり眉を観察していると、自分は毛根の並びだけ見ると上がり眉だが、ほとんどの毛が下向きに生えているのに気付いた。
そこで眉毛をすべて剃り、毛根に沿って眉を描いてみた。
顔が引き締まった。
弱気な「僕」はそこにいなかった。
そういえば、昔、同じように上がり眉をつくったことがあったことを思い出した。
姉は俺を見て嘲笑した。「下がり眉がコンプレックスなの?w」
あの頃から、俺は上がり眉をかけなくなった。
小さい頃、姉の写真をハサミで切り刻んでいたことを思い出す。
姉は俺のことを憎んでいた。姉と母は結託して俺をいじめ抜いた。
おそらく当人たちにその意識はないだろう。むしろものすごく心配して世話を焼いたと思っているだろう。
けれども俺には呪いがかかっている。
いつもいつも、何かをしようとささやかれる、呪いだ。
「お前には何もできない」
「お前がやることは間違っている」
「お前は醜い」
姉は俺の容姿がほめられると、絶対に否定した。
おばさんが俺の赤ん坊のころの写真を見て「まあかわいい」というと、映りの悪い写真を探し出してきた、「これ、誰に似たんだろうねぇ?www」と言いながらこれよみがしに突きつけてきた。
姉との喧嘩は腕でも口でも勝てなかった。
俺は呪われている。
それは心の底から響いてくる呪いだ。
どす黒いもやもやとした足枷だ。
真綿で首をゆっくりしめられるような苦しみだ。
「お前には何もできない」
「お前のやることは間違っている」
「お前は醜い」